睡眠時無呼吸症候群
(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に
- 呼吸が止まる(無呼吸)
- 呼吸が弱くなる(低呼吸)
を何度も繰り返す病気です。
1時間に5回以上起こると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群で
みられる主な症状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間だけでなく、日中の体調にも影響する病気です。
症状は「夜」「朝」「日中」に分けてみるとわかりやすくなります。
- 寝ている間の症状
-
- 大きないびきをかく
- 呼吸が止まっていると指摘される
- 息苦しくて目が覚める・むせる
- 夜中に何度も目が覚める
- 夜間何度もトイレに起きる
- 寝汗をよくかく
➡ご家族から指摘されて気づくことも多いです。
- 朝起きたときの症状
-
- 頭が痛い
- 口が乾いている
- 熟睡した感じがしない
- 体が重い
- いくら寝ても疲れがとれない
➡「睡眠時間をしっかりとっているのにスッキリしない」のが特徴です。
- 日中の症状
-
- 強い眠気
- だるさ・倦怠感
- 集中力や記憶力の低下
- いつも疲れている
- 居眠りで仕事や運転に支障が出る
- 血圧が高い
➡ 居眠り運転による事故の原因になることもあります。
上記症状が気になる方はご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群
のタイプ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、大きく2つのタイプがあります。
- ① 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
➡のど(気道)がふさがるタイプ -
眠っている間にのどが狭くなり、空気の通り道がふさがって呼吸が止まります。
最も多いタイプで、いびきを伴うことが多いのが特徴です。
- ② 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
➡脳からの呼吸の指令が弱くなるタイプ - 呼吸の通り道は開いていても、脳(呼吸中枢)から「呼吸しなさい」という指令が出なくなり、一時的に呼吸が止まります。
睡眠時無呼吸症候群を
放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる「いびき」の病気ではありません。
心臓・脳・血管に大きな負担をかける病気です。
眠っている間に呼吸が止まると、体は酸素不足になります。
そのたびに血圧が上がり、心臓が強く働き、血管が傷ついていきます。
これが続くと、動脈硬化が進み、さまざまな病気につながります。
睡眠時無呼吸症候群と
自律神経の関係
自律神経とは
自律神経系は、交感神経(活動・緊張)と副交感神経(休息・回復)のバランスで体を調整しています。
本来、睡眠中は副交感神経が優位になります。
なぜ睡眠時無呼吸で自律神経が乱れる?
無呼吸が起こると:
- 血中酸素が低下
- 体が「危険!」と判断
- 交感神経が急激に活性化
- 心拍数・血圧が上昇
これが一晩に何十回〜何百回も起こります。
つまり、夜中ずっと体がストレス状態になります。
その結果どうなる?
自律神経の慢性的な交感神経優位が続くことが大きな原因となり、以下のような病気につながります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 不整脈
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 日中の強い眠気
- 慢性的な疲労感
治療するとどうなる?
CPAP治療などで無呼吸が改善すると:
- 夜間の交感神経過剰が改善
- 血圧が下がる
- 心血管リスクが減る
- 日中の倦怠感が改善
自律神経バランスも徐々に整っていきます。
関連しやすい主な病気
- 糖尿病
- 交感神経(緊張モード)が強く働き、「血糖を上げるホルモンが増える」「インスリンが効きにくくなる」ことで、血糖値が上がりやすくなります。
- 高血圧
-
SASのある方の約半数に高血圧がみられるといわれています。
逆に、高血圧の方の中にもSASが隠れていることが少なくありません。 - 心不全
-
無呼吸が続くと心臓に負担がかかり、心臓の働きが弱くなることがあります。
心不全のある方では、SASを合併しやすいことが知られています。 - 脳卒中
- 酸素不足や血圧上昇が繰り返されることで、脳卒中の発症リスクが高まるとされています。
- 不整脈
- 特に夜間の不整脈が多く、重症になるほど発症リスクが高くなるといわれています。
- 狭心症・心筋梗塞(虚血性心疾患)
- 心臓の血管(冠動脈)の病気とも深く関係しており、合併率が高いことが報告されています。
検査について
診察で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われた場合、まず簡易検査を行います。
- 簡易検査(在宅PG検査)
-

当院と専門業者で連携を行い、検査をします。
就寝時に指(または手)・鼻の下や顔にセンサーを装着し、睡眠中の
- 呼吸の状態
- 酸素濃度(血中酸素)
を記録します。
検査は普段どおりご自宅で眠るだけです。
後日、機器を返却していただき、データを解析後、医師が結果をご説明します。 - 検査結果の見方(AHIについて)
-
睡眠時無呼吸症候群の重症度は、AHI(無呼吸低呼吸指数)という数値で評価します。
AHIとは、1時間あたりに「無呼吸(10秒以上呼吸が止まる)」や「低呼吸(呼吸が弱くなり酸素が低下する)」が何回起きているかを示すものです。- AHIの目安
-
- 正常:0〜5回
- 軽症:6〜20回
- 中等度:21〜30回
- 重症:31〜50回
- 最重症:51回以上
- 精密検査(在宅PSG検査)
-

より詳しく調べる場合は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を行います。
- 呼吸の動き
- 酸素濃度
- 脳波
- 眼球の動き
- 心電図
などを同時に測定し、睡眠の状態と無呼吸の程度を詳しく分析します。
通常は入院して行う検査ですが、当院ではご自宅で検査を受けていただくことが可能です。
- 住み慣れた環境で検査できる
- お仕事やご家庭の都合に合わせて日程調整ができる
- 入院の負担がない
というメリットがあります。
- 費用について
-
- ご自宅での検査:3割負担で約1万円程度
- 入院での検査:約3〜5万円程度
- まとめ
-
- 呼吸だけでなく脳波まで詳しく測定
- ご自宅で検査可能
- 費用負担が少ない
症状や簡易検査の結果に応じて、精密検査(在宅PSG検査)をご案内いたします。
睡眠時無呼吸症候群
の治療
- ① CPAP療法(第一選択)
-

最も効果が確立している治療法です。
寝るときにマスクを装着し、一定の空気圧を送り続けることで
➡のどの空気の通り道を広げ
➡無呼吸を防ぎます。期待できる効果
- いびきの改善
- 日中の眠気の改善
- 血圧の安定
- 心不全・不整脈の悪化予防
- 脳卒中・心筋梗塞リスクの低下
中等度〜重症の方では特に重要な治療です。
CPAPはとても効果の高い治療ですが、装着を始めたばかりの頃は違和感や不快感を感じる方もいらっしゃいます。
- マスクが気になる
- 空気の圧が強く感じる
- うまく眠れない
といった声も少なくありません。
そのため当院では、
- 最初は短い時間から慣らす
- マスクの種類やサイズを調整する
- 空気圧の設定を見直す
など、一人ひとりの状況に合わせて無理のない方法で進めていきます。
- ② 口腔内装置(マウスピース治療)
-
歯科で作製する装置で、下あごを前に出すことで気道を広げる治療です。
- 適している方
-
- 軽症〜中等症
- CPAPが合わない方
- 出張や旅行が多い方
持ち運びがしやすいのが利点ですが、重症例では効果が不十分なことがあります。
ご希望の方は専門である歯科にご紹介いたします。 - ③ 生活習慣の改善
-
肥満がある場合は、減量だけで無呼吸が改善することもあります。
- 首・のど周囲の脂肪減少
- 気道の圧迫軽減
生活習慣の見直しは、すべての患者様に大切です。
- ④ 外科的治療(適応がある場合)
-
のどの構造に明らかな原因がある場合に検討します。
- 扁桃肥大
- 鼻中隔弯曲
- 顎の骨格異常
手術により気道を広げますが、慎重な適応判断が必要です。
専門である耳鼻咽喉科にご紹介いたします。
CPAP以外の治療の選択として