当院での診療
予防医療に特化した専門外来
これらはすべて「つながっている」病気です
- 糖尿病
- 高血圧
- 慢性腎臓病
- 心臓病(心不全・狭心症・不整脈など)
- 肥満症
- 脂肪肝
別々の病気のように見えて、実は同じ流れの中にある病態です。
中心にあるのは「肥満」と
「インスリン抵抗性」
- ①肥満(特に内臓脂肪)、脂肪肝
↓ - ②インスリン抵抗性
↓ - ③高血糖・高血圧・脂質異常
↓ - ④動脈硬化
↓ - ⑤腎臓病・心臓病
では「肥満がない人」は
大丈夫?
いいえ。実は、肥満がなくても糖尿病、高血圧、脂質異常症は進行します。
- ① やせ型でも内臓脂肪が多い(いわゆる"隠れ肥満")
- 日本人は特に、BMIが高くなくても内臓脂肪がつきやすく、インスリン抵抗性が起こることがあります。
- ② 遺伝的素因
- 家族歴がある方は、肥満が目立たなくても、インスリン分泌低下 → 高血糖 → 動脈硬化という経路で進行することがあります。
- ③ 加齢・筋肉量低下
- サルコペニアによりインスリン感受性が低下します。
- ④ 高血圧や脂質異常が先行するタイプ
- 肥満がなくても、高血圧や高LDL-C血症から動脈硬化が進行 → 腎機能低下という場合もあります。
CKM症候群
近年、これらをまとめて捉える概念として
CKM症候群(Cardiovascular–Kidney–Metabolic
syndrome)という概念が提唱されました。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 肥満
- 慢性腎臓病
- 心血管疾患
これらを一つの連続した病態として管理する考え方です。
心腎連関
腎臓と心臓は強く影響し合います。
腎臓が悪くなると心不全が悪化し、心不全が進むと腎機能も低下します。
この相互悪循環は「心腎連関」と呼ばれています。
なぜ重要か
従来は
- 糖尿病は糖尿病外来
- 腎臓病は腎臓外来
- 心臓病は循環器外来
と分かれていました。
しかし実際には、どれか1つを治療するだけでは不十分で、全体を同時に守る必要があるということが分かってきています。
当院では、糖尿病・高血圧・腎臓病・心臓病・肥満症・脂肪肝・脂質異常症を、それぞれ独立した疾患としてではなく、動脈硬化や臓器障害へとつながる一連の病態として統合的に管理しています。
これらを「人生に大きな影響を与える病気を防ぐための一つの流れ」としてとらえ、長期的な視点で診療しています。
慢性腎臓病/
透析予防外来
腎臓は一度悪くなると元に戻りにくい臓器です。
しかし、早期発見・早期介入で進行を遅らせることは可能です。
- 対象となる方
-
- 健診でeGFR低下・Crが高い・尿たんぱく/潜血など腎機能低下を指摘された
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症がある
- 家族に腎臓病や透析している方がいる
- むくみが気になる
- 行うこと
-
- 原因評価(糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満など)
- 腎保護薬の適切な導入
- 無理をしない食事療法(減塩・たんぱく調整)
- 心血管リスク管理
➡目標は「透析を防ぐ・遅らせる・心不全を予防する」こと。
詳しくは腎臓内科の欄の慢性腎臓病/透析予防外来をご参照ください。
心不全予防/
循環器内科外来
心不全は「一度入院すると再発を繰り返しやすい」病気です。
しかし、その多くは生活習慣病の管理で予防できます。
- 対象となる方
-
- 健診で心電図異常・心拡大・心雑音を指摘された
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症がある
- 慢性腎臓病がある
- BNP・NT-proBNP上昇を指摘された
(BNP:35以上、NT-proBNP:125以上が一つの指標) - 息切れ・動悸・むくみがある
- 行うこと
-
- 心電図、ホルター心電図➡不整脈をみつけます
- レントゲン➡心臓の大きさ確認します
- 心臓超音波検査➡心臓機能、弁膜症の評価をします
- 頸動脈超音波検査➡動脈硬化の評価をします
- 不整脈、弁膜症、心臓機能の低下を早期に発見し、心腎連関を意識した治療を行います。
-
さらに詳しい検査が必要な場合には連携している専門医療機関へご紹介いたします。
➡目標は「入院しない心臓づくり」
2025年改訂版 心不全診療ガイドライン
心不全のステージ分類
(早めのチェックが大切です)
心不全は、ある日突然起こる病気ではありません。
実は「まだ症状がない段階」から少しずつ進んでいきます。
その進み具合を示すのがステージ分類です。
図のようにステージA、ステージBの段階で治療を介入することでステージC、ステージDに移行しないように予防することが重要です。
2025年改訂版 心不全診療ガイドライン
ステージA(心不全予備軍)
まだ心臓そのものに異常はありません。
しかし、将来心不全になるリスクを持っている状態です。
- 主なリスク
-
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 肥満
- 慢性腎臓病 など
-
この段階では、生活習慣の改善と血圧・血糖・コレステロールの管理をしっかり行うことで、心不全への進行を防ぐことが目標になります。
ステージB(前心不全期)
すでに心臓の構造や機能に変化が起きている状態です。
しかし、まだ息切れやむくみなどの「心不全症状」は出ていません。
- 例
-
- 心肥大(心臓の壁が厚くなる)
- 左室肥大
- 左室収縮力の低下
- 狭心症や心筋梗塞の既往
- 弁膜症(逆流や狭窄)
- 心房・心室の拡大
- 生まれつきの心臓の穴 など
この時期は「前心不全期」と呼ばれます。
- 治療目標
-
- 心不全を発症させない
- 心不全で入院しないようにする
-
ここで適切な治療を始めることが、とても重要です。
ステージAとBの違いは検査をしないと分かりません
自覚症状はほとんどありません。
そのため、
- 心電図
- 胸部レントゲン
- 心臓超音波検査
などを行わないと区別がつきません。
例えば、「高血圧、糖尿病で薬を飲んでいるけれど、心臓超音波検査を受けたことがない」という場合、
ステージAかBか分からないことがあります。
状態を正しく把握することで、より適切で細やかな治療が可能になります。
心臓超音波検査でわかること
次のようなポイントを確認します。
- 左室肥大(心臓の壁が厚くなっていないか)
- 心房・心室の拡大
- 収縮力・拡張力(心臓の運動)
- 弁膜症(逆流や狭窄)
- 生まれつきの異常 など
痛みはなく、体への負担も少ない検査です。
ステージC
(症状がある心不全)
心不全の症状が実際に出ている段階です。
- 主な症状
-
- 息切れ・呼吸困難
- 動悸
- 体のだるさ
- 足のむくみ
- 横になると苦しい など
-
この段階では、心臓の働きが低下し、日常生活にも影響が出てきます。
- 治療について
-
ステージCでは、
- 薬物治療
- 食事療法(塩分・水分管理)
- 運動療法(適切な運動)
- 必要に応じて入院治療を組み合わせて治療します。
- 状態が悪い場合は入院加療が必要になることもあります。
- 退院できたとしても、1年以内に再入院となる方が一定数いらっしゃいます。
現在の医療でも、再入院を完全にゼロにすることはできていません。
-
心臓の機能は、一度大きく低下すると、完全に元通りに回復するのが難しいこともあります。
そのため、ステージA・Bの段階での予防治療がとても重要になります。
ステージD
(治療抵抗性・難治性心不全)
- 主な症状
-
さまざまな治療を行っても、症状の改善が難しい段階です。
薬や入院治療を続けても、- 息切れ
- 強い疲労感
- 横むくみ
- 呼吸困難
-
などの症状が十分に良くならない状態を指します。
- 治療の選択肢
-
状態によっては、
- 補助人工心臓
- 心臓移植
といった高度医療を検討する場合があります。
- 症状のつらさを和らげる治療
- 苦しさを軽減する緩和ケア
- 安らぎを大切にする終末期医
症状のつらさを和らげることを中心に考える時期でもあります。
- 当院での診療
-
- 心不全は「症状が出てから治療する病気」ではありません。
- 症状がないうちから評価し、早めに対策を始めることが、将来の入院や重症化を防ぐ鍵になります。
- 高血圧や糖尿病がある方、長く治療を続けている方は、一度心臓の状態を確認してみることをおすすめします。
- 心臓の状態によって、そして高血圧、糖尿病、慢性腎臓病などの基礎疾患に合わせて、よりよい薬剤を選択します。
お気軽にご相談ください。
肥満症外来
肥満は「体格の問題」ではなく、糖尿病・腎臓病・心不全の入り口です。
- 特徴
-
- 我慢中心の指導はしない
- 継続できる生活習慣を一緒に設計
必要に応じて
- ウゴービ
- ゼップバウンド
など医学的根拠のある治療も検討
➡目標は「体重を減らすこと」ではなく、将来の病気を防ぐこと。詳しくは生活習慣病の肥満症の欄をご参照ください